「山忠本家酒造」2001/04/13(第15回)

 3月の25日から3日間、東海地方を旅しました。25日は「義侠」の新酒利き酒の為、朝9時30分の名古屋行きの便で大分を出発しました。約一時間程で到着です。ホント近いですね〜。家を出て2時間足らずで愛知県まで行けるのですから・・・・

 名古屋空港からは空港バスで30分で名古屋駅前のバスターミナルに着きます。宿泊先のホテルに荷物を預けて名鉄弥富線に揺られること30分で津島駅に着きます。そこでタクシーに乗り換えて10分で目指す「山忠本家酒造」に到着しました。

 まず社長に挨拶をした後、新杜氏の「杉村洋」氏に声をかけました。杉村杜氏とは7〜8年程前は良く顔をあわせていましたが、彼が営業から製造に変わってからは、ずっと会うこともありませんでした。久しぶりに会った印象は穏やかな話ぶりとは対照的に一本芯の通った雰囲気を醸し出していました。(さすがに任された人はどこか違うと感じました。)

 知り合いの酒屋さんと挨拶を交わした後、いよいよ利き酒です。今年は昨年までと異なり60%と50%の1500kg仕込みは以前に利き酒が終わっていたので50%の750kg仕込みから上が対象です。内訳は50%が4本、40%が3本、30%が2本です。この中から自分の好きなタンクを選んで注文しますが、これが中々難しいものなのです。特に今年はタンクによるばらつきが昨年より少なくて選ぶのも慎重にならざるを得ません。30%と40%は堅くて当分飲めそうになかったので50%だけは早飲みできるものを選びました。

 結果として50%は仕込み14号を40%は仕込み17号と19号でさんざん迷った挙げ句、仕込み19号を30%は仕込み20号を注文しました。それぞれ1.8lと720mlを頼んだのですが、現時点で入荷したのは50%の1.8lのみです。
 夜は山田社長を囲んでの懇親会です。名古屋の夜は堪能できませんでしたが(どういうこっちゃ!!)とりあえず良いお酒ができていたので一安心の「山忠本家酒造」でした。

 実は取材と称して翌日もお伺いして「杉村杜氏」に話を聞きました。彼の自身の話を少し・・12年前に営業として「山忠本家酒造」に入社した彼は8年前から造りのスタッフとして働き始めましたので8年間で杜氏になった訳です。それまで東条町の田植え、稲刈り等に必ず顔を出していた彼が突然こなくなりましたのでどうしたのですか?と尋ねたこともありましたが、まさか杜氏さんになろうとは夢にも思いませんでした。(もっとも山田社長は最初から、そのつもりだったのでしょうが・・)

 新杜氏として何が大変だったかと尋ねましたら4人で仕込みをするのですが、それをどうやってまわしていくか!ということが一番大変だったということです。なにせ初めての事ですのでそれはそうでしょう。そして自分なりに考えてより手間のかかる造り方をしていったそうです。それが今年のお酒になって現れて来ているのが嬉しいですね。その為、今年の造りは昨年のタンク39本の仕込みから28本まで減らしたそうです。必要最低限の仕込みをしたそうですのでそれだけ丁寧な造りをしたということでしょう。今年の義侠がおいしくなった訳が分かったような気がしました。

*注)60%、50%、40%、30%と表示しているのは精米歩合のことです。精米する前のお米を100%とすると60%は6割を使用して4割を糠にして捨てるということです。30%ではわずか3割を使用して7割は糠になり捨てられます。つまり%の低い方が高級酒ということです。

*注)1500kg、750kgと表示しているのは仕込量のことです。1本の仕込タンクにどのくらいのお米を使うかということで、1500kgの仕込やその半分の750kgの仕込など蔵によって、また仕込むお酒によっていろんな仕込み方があります。大きなところでは16000kgから30000kgぐらい、ちいさなとこでは500kgや600kg仕込などですが一般に小さな仕込の方が良いお酒ができるといわれています。