「浜嶋酒造 酒造り体験」2003/2/10(第32回)

 2月2日、3日と「浜嶋酒造」で酒造り体験をしました。実際に体験してみると造りの事が良く理解できるようになりましたので、貴重な経験となりました。

 一番感動したことは「麹米」はすべてステンレスのざるで「限定吸水」させることでした。キッチリ10kgづつ計ってざるに入れます。それを約130%の重さになるまで吸水させるわけですが、この水温なら何分何秒と、ある程度目安があるようで時計とにらめっこしながら、寸分の狂いもないように吸水させます。これがうまく出来ないと「良い麹米」にならないそうです。

 現在「浜嶋酒造」では、普通酒にいたるまで全て「麹米は山田錦」を使用していますが、県内でこれほど贅沢な普通酒はありません。もっとも普通酒の割合が浜嶋さんの場合、10%ぐらい(つまり90%は特定名称酒)しかありませんので「ついでに」といった感覚なのでしょうか?ちなみに県内の蔵元さんの「特定名称酒」(本醸造以上のお酒 )の平均割合が13.6%*)なので、「浜嶋酒造」がいかに突出しているかわかります。

 その夜は浜嶋さんの家に泊まらせてもらい食事も一緒にしました。仕込が早めに終わったのでみんなで食事をするのですが、家族や蔵人も含めると10名以上の大所帯です。これだけの賄いを受け持つ「いくみさん」(奥様)も大変です。

 「イカと里芋のお煮付け」「馬刺し」「手作り餃子」など、どれをとっても美味しい味付けで感動ものなのですが、その上に「鷹来屋五代目」とも抜群に相性が良くお酒もスイスイ進みます。大いに盛り上がりワインを飲む頃にはほとんど記憶もなくなり、いつ床に着いたのかも覚えていません。

 翌日は、朝6時に起こされてすぐに仕込をしました。「麹室」の中に入り床(とこと呼ばれる台)に盛っていた麹米を箱に移し替えたり、「甑(こしき)」に当日蒸す米を入れたりの作業をしたあとで、米が蒸し上がるまでの時間を利用して朝食を取ります。約一時間ほどで蒸し上がった米をスコップで掘り出し、竹の簀の子に上に布をしいてそこに米を広げ、そこで決められた温度まで冷やします。さました米は「麹米」は「麹室」に、仕込用の「掛け米」は仕込タンクへとそれぞれ運びます。

 その作業までやって丸一日の仕込体験を終わらせて、宮崎県高鍋町の「黒木本店」さんに向かいました。

*)「 特定名称酒」の平均割合が13.6%  大分県酒造組合調べ 13BY