「東北紀行 福島」2006/7/10(第61回)

 山形に行った翌朝、ホテルを出て国道49号線で郡山から会津若松を目指して進みます。この日も季節はずれと思われる寒波で猪苗代湖近辺の温度は−6℃とすごい寒さで、途中何度も車が滑りそうになりながら、なんとか会津若松まで行くと幾分気温も上がったように感じましたが、それでもまだ−3℃ほどでした。

 廣木酒造本店さんには、午後からお伺いすると伝えていましたので、かなり時間がありましたので、お昼ご飯にそばを食べたくなり、ナビで捜していると同じ会津坂下町にある「松林閣 そば処石亭」というところが検索で出てきました。それで行ってみるとビックリ!!すごいお屋敷の割烹という言葉がふさわしい立派な建物でした。

 おそるおそる玄関をくぐり、お昼を食べさせてもらえるかと尋ねると気軽に部屋に案内していただきました。通された部屋は10畳以上あろうかと思われる広さで、外の景色が一望できる素晴らしい部屋でした。こんな所だからさぞ高かろうと怖々メニューを眺めるとそんなに高くもない値段でしたから一安心しました。その部屋でポツンと一人定食のおそばを食べましたが、何かもったいないようなシチュエーションで贅沢な気分を味わうことができました。ここの蕎麦は白くて芯の方を使っていると言うことで、とっても美味しく私好みの蕎麦でした。

 食事が済んで廣木さんの所にお伺いしたのは、午後1時少し前でしたが廣木さんは出かけているそうで座敷で待つことになりました。座敷の前の通路には、これから使うであろう酒米が山のように積まれていまして出番を待っていました。興味深かったのは米の種類の多さです。(良く考えれば分かることですが)それほど多様なお酒を造っているのだとあらためて感じました。

 しばらくして廣木さんが来られて、福岡便がなくなることを告げると彼の奥様も困っているとのこと(奥様は福岡のご出身)。ところが新潟空港を使う手もあるということを教えていただきました。会津坂下からですと福島空港に行くのも、新潟空港に行くのも距離は同じくらいということでした。あらためて地図を眺めるその通りでして、人間の思いこみはややもするととんでもない間違いを起こすことになりかねないと思いました。(瀧自慢酒造さんも名古屋より大阪の方が近い)

 帰りの飛行機の時間も迫りあまりゆっくりとできないので、今年の蔵の改良点をお伺いしたら、限定給水をしたあとの米の水切りをするのですが、そこに脱水機のような遠心分離装置をつけて「限定給水をもっと厳密にした」ということでした。若干の米の割れが発生するものの蒸し米の出来が格段に良くなったそうです。

 その後近くに立てたという冷蔵庫(貯酒庫)を見学させていただいて、今後の蔵の方針などもお伺いして早々にお暇いたしました。時間が取れなくてゆっくりお話しできなくて残念でしたが、蔵のビジョンも見えたし有意義な蔵訪問でした。

 帰りは高速に乗り福島空港でレンタカーを返しましたが、二日間で走行距離が800km程になり、綺麗だった車も雪道の走行で真っ黒になって、なんか申し訳ないような気分でした。1300CCという小排気量ながら高速もストレスなく走れ、且つ燃費もリッター当たり17kmという低燃費で今時の車の素晴らしさが判りました。トヨタのベルタ君お疲れさまでした。