「廣木酒造本店に行く」2007/5/10(第71回)

 実はこの旅に出る前、長野県から福島県には、どう行ったら早いのかと自宅で悩んでいました。地図を出して眺めてもすぐに行けるような距離(約350km)ではないし、どうしたものかと。そんな時ふっと思いだしたのが、廣木さんの「会津若松からだと福島空港も新潟空港も距離は変わりませんよ」という言葉でした。

 それで、大きな地図で確認すると長野県ー新潟県ー福島県の高速道路のルートがあることに気が付きました。なるほど、これなら群馬県ー栃木県ー福島県と廻るより一般道を通らずに済む分、時間的に遥かに早く行けるだろうと思いました。実際天法酒造の寺澤さんにお伺いしたら、3時間ちょっとで行けるだろうというお話でした。

 この季節の高速道路、しかも新潟経由ということで廣木さんの所に辿り着けるかという不安もありましたので廣木さんにはアポイントも取っていませんでした。それでも何とか連絡するべく携帯電話にかけたのですが、お忙しいのか電話に出ませんでしたが、この時期に蔵から離れることはないだろうと勝手に思い込み、車を走らせました。

 お昼前に天法酒造さんを出発し、国道18号を北上し更埴インターから上信越道で上越ジャンクションを経由し、そこから北陸道で新潟を通って、さらに磐越道で廣木さんの近くにある会津坂下インターまで、途中食事をとりながらの長距離運転でした。磐越道の会津坂下インターの一つ手前の会津西インターから再度電話し、いまからお伺いすることを告げて、長野県を出て約4時間ちょっとで無事に蔵に辿り着きました。しかしこの時期にまったく雪がなかったことは、本当にラッキーでした。

 蔵では、まだまだ仕込が続いていまして、通路には所狭しと仕込用の精米された米袋が積まれていました。事務所で仕事中だった廣木さんに挨拶してから座敷に通していただき、酒の業界の近況や群馬泉の島岡酒造さんの話題などで話が弾み、あっという間に時間が過ぎてしまいました。

 その話の中で今後蔵の柱にしたいという新商品の「特撰純吟 飛露喜」720mlで¥2,625を発売するということや、廃業した蔵の杜氏さんを新しく雇ったことなどさらにその杜氏さんに鑑評会に出品する「大吟醸」を任せていることなど、貴重なお話も伺うことが出来ました。

 今回、蔵の中は変更がほとんどないということでしたので、蔵の細かいところは見ずに、利き酒も車なので出来ないで帰ることになりました。それと翌日は宇都宮に立ち寄り、羽田から大分に帰らなければならないので、できる限り宇都宮の近くまで行きたかったので、早々にお暇しました。