「高知県出張 中編」 2009/9/10(第101回)

 仙頭酒造場を訪れた後、高知市を目指して国道55号線を再び西に戻ります。途中、吉川という所から海岸沿いに桂浜に抜ける県道に入ります。浦戸大橋を渡り桂浜入り口を通り越して、再び海岸線に戻ると酔鯨酒造の看板が出ているところから右折します。狭い道を道なりに進むと突き当たった付近が蔵になりますが街中にあるので相当狭いような印象を受けます。

 この蔵を訪れるのは2回目ですが、もう10年以上前のことなので場所以外はほとんど記憶に残っていませんでした。この蔵で小松君は4年修行したそうです。縁あって私が問屋さんルートで酔鯨を仕入れて販売していますので、今回一緒にお邪魔することになりました。

 二階の事務所に上がり、製造部醸造課の江口さんに案内していただきましたが江口さんは大分の津久見出身ということでした。高知大学に入ってそのまま高知で就職・結婚してもう18年になるそうです。今36才なので人生の半分はこの場所で過ごしていると感慨深げに話していました。

 その江口さんに蔵の中を案内していただきましたが、敷地が狭いのでかなりコンパクトな設備でした。この蔵で現在4000石造っていますので、日仕舞で仕込んでいき年間160本ほどの仕込みをするそうです。毎日仕込む訳ですから6ヶ月以上に渡って造り続けることになります。凄まじいですね。


 まず驚かされたのが自動洗米機です。約30kg単位のお米を正確に吸水させる仕組みになっていまして、この機械だけで3000万円したそうです。ざるに入れたお米をストップウオッチ片手に桶の中に漬けたり上げたりの繰り返しが無くなったので藏人さんたちはとても楽になったということです。

 さらに温暖な高知県ならではの装置が仕込蔵の冷房設備です。もと場を含めて仕込蔵すべてに冷房設備を施しています。当然冬場は蔵内の温度を下げるためですが、夏場はタンクに貯蔵したお酒の管理にも利用しています。特別に良いお酒だけは、サーマルタンクという二重になったタンクの間を冷水が循環して一定温度(極低温)を保つようになっています。

 これほどの量のお酒を造りながら、仕込は最大でも1500kg仕込なので、その大変さは容易に想像できます。高品質なお酒を造るために努力を惜しまない姿勢には頭が下がります。

 江口さんに蔵の中をすべて案内していただき、事務所に戻って一通り試飲させていただきました、米の違いや精米の違いでたくさんのアイテムがあり、とてもすべて試飲できる数ではありません。その中でも印象に残ったお酒が当店取扱いの「麗吟 純米吟醸」です。派手さはありませんが、じっくりと楽しめるお酒だと再認識いたしました。


 事務所の方々に御礼のご挨拶をして蔵を後にしました。江口さんとは、その夜高知市内でご一緒する約束をしていましたので、オススメのお店に酔鯨を持ち込
 ませていただき、鰹のタタキなどの名産と一緒に酔鯨を楽しみました。

 江口さん、本当にお世話になりました&ありがとうございました。