「鷹勇 大谷酒造に行く」 2010/2/10(第106回)

 先日の日曜日、1月31日に鳥取県まで行きました。今回の目的は琴浦町の大谷酒造さんに久しぶりにお伺いする為です。

 日曜日に移動して高速道路1000円の恩恵を受けて米子で宿泊して、翌日に蔵にお伺いする予定で行程を組みました。さらにもう一軒どこかにお伺いしたいので午後からの予定を空けておきました。

 しかしながら鳥取県の遠さには閉口します。ここから米子までは九州道の小倉東インター経由で中国道、更に米子道を通って約550kmの距離でした。朝7時に家を出て米子に着いたのは午後2時でした。ほとんど大阪に行くのと変わりませんね。

 お昼ご飯は、米子に近い境港で「海鮮丼」の食べ歩きをやっているらしく、途中我慢してそちらに向かいましたが、やっと探したお目当てのお店は、お昼の営業が午後2時で終了だったので断念して、大通り沿いにあるお店で食べました。海鮮丼が1050円とまぁ納得できる味とお値段でした。

 その日の夜は皆生温泉で宿泊のみできるというところがあったので、そちらに泊まり、夜は街に出かけてみました。日曜日という事もあり、閉まっているお店が多く残念でした。またホテルから紹介されたお店は一般的な居酒屋という感じでお酒がなさそうだったので違うお店に入りました。

 福島でもそうでしたが、焼酎が圧倒的に売れているようでたくさんの種類を置いていましたが、日本酒はメニューに三種類しかありませんでした。鹿児島・宮崎の話なら理解できますが、日本酒王国の山陰地方であまりの焼酎ブームにビックリしましたし、正直ガッカリしました。

 あまりよさげなお店も見つけられないまま、ホテルに帰ることになりましたが、ホテルに入ってるテナントの居酒屋が鷹勇など置いていまして、けっこう良さそうなのでそこで飲み直しました。ノドグロの干し物が旨かったです。

 残念だったのは温泉で、ホテルのお風呂が大分で言うスーパー銭湯のような感じで一般のお客さんも入ることができるようになっていたのです。ですから温泉成分もほとんど感じず、いかにも循環と分かるように塩素の臭いしかしません。別府を身近に知っている私としてはとても残念な印象でした。(もちろんそのホテルに限った意見ですが)

 翌日は8時にホテルを出て、鳥取西道路の米子インターから名和インターを経由して蔵のある琴浦町を目指しましたが約一時間で到着です。この蔵を訪問するのが10数年ぶりですので、ほとんどまわりの記憶がありませんでした。近くに浦安という駅があったことは覚えていましたので、コンビニで尋ねると国道9号線から少し入ったところでしたので簡単に見つけることができました。

 当日は社長の大谷修子さんと桑崎営業部長さんが待っていて案内していただきました。先代社長の思い出や坂本名誉杜氏のことなど思いだしてお話ししました。今でも坂本名誉杜氏は、たまに蔵にお見えになり指導をしてくれるそうです。

 話もそこそこに早速事務所裏にある蔵に行くと、まず目についたのが30俵張りの精米機が2基座っていました。ちょうど高級酒の精米の真っ最中でした。その横にある仕込蔵に行き階段で2階に上がると右側が原料処理と甑や放冷機が並んでいます。ちょうど蒸し米をあげるところで藏人さんたちが忙しそうに働いていました。

 その奥にもと(酉に元いう字)場がありました。空調で管理する広いもと場す。そして左側には麹室があります。麹室は3部屋「手造り」「機械造り」「枯らし」に別れていまして、2部屋でお酒に合わせた麹を造っているそうです。

 今回「生もと」と「山廃」のもと場は、一番重要な時期なので残念ながら見学することはできませんでした。


 その後、貯蔵蔵の2階の会議室で早速今年のお酒を試飲させていただきました。「大山恵みの里」「純米吟醸中垂れ 蔵の水仕込」「純米吟醸強力 宝喜の水仕込」「純米吟醸強力 蔵の水仕込」の4アイテムでしたが仕込水で、これほど印象が変わるものなのかととてもビックリしました。

 「大山恵みの里」はお隣の大山町で取れた有機米と大山町の名水で仕込んでいます。軟水でとてもやさしい飲み心地です。「純米吟醸中垂れ」は、いつもの鷹勇のしっかりした味わい。「純米吟醸強力」が一番良くわかるのですが、蔵の水で仕込むと強力の特性が良く出るようなしっかりとどっしりした味わい。宝喜の水で仕込んだ方は超軟水のためか、これが強力米かと思うほど優しい味に変わっています。それでも今すぐに飲めるという物ではありませんでしたが。

 この中で、一番早く飲めそうな「大山恵みの里」を特別に「生」で出していただきたいとお願いしました。今までの鷹勇のイメージが変わるような、やさしくほんわかとした味わいのお酒でした。入荷しましたらご案内いたしますので、楽しみにお待ち下さい。

 試飲した後に1階に下りて仕込蔵を見せていただきました。ここで坂本名誉杜氏に案内していただいた記憶が蘇ってきました。10数年も前から山陰というかなり寒い土地にありながら、仕込蔵に冷房設備を導入していることに感激したものでしたが、そこは健在で昔のイメージのままでした。ちょうど2階で蒸された蒸し米が仕込タンクに投入されているところでした。

 さらに新設された大きな冷蔵庫と、昔からあり高級酒が眠る、前回お伺いした時に先代に案内していただいた冷蔵庫を見学して事務所に戻りました。時間にしたら僅かでしたが貴重な体験ができた蔵訪問となりました。冷蔵庫はホント宝の山ですよ!!

  大谷社長・桑崎営業部長、お世話になり大変ありがとうございました。