「土井酒造場に行く」 2010/4/25(第111回)

 まだ春浅い3月6日「開運」の土井酒造場さんにお邪魔するため、早朝家を出ました。土井酒造場さんは静岡県掛川市にあります。最も早いのは東京まで飛行機で行き、新幹線で掛川まで引き返すのがベストだと思うのですが、翌日は山忠本家酒造さんに、更にその次の日は松瀬酒造さんにお伺いするので、一番安くすむ方法として、新幹線の名古屋往復割引チケットを購入しました。

 朝7時前に自宅を出て宇佐駅を7:17分のソニックで小倉駅に向かいます。小倉駅では30分ほどの待ち合わせで、8:47分発ののぞみで名古屋まで、さらにこだまに乗り換えて13:00分にやっと掛川に到着しました。掛川駅からはタクシーで20分ほどで蔵に着きます。家を出てから6時間以上かかりました。

 藏に着くと、すぐに奥の事務所兼自宅に通されて土井社長にご挨拶をして、昨年9月にあった、波瀬杜氏のお別れの会に参加できなかった非礼をお詫びしました。名杜氏を失って土井社長も気のせいか、お元気がなさそうでした。


 湿っぽい話はそこまでにして、「ところで食楽3月号に開運が載っていましね。」と話題を変えて、本来のお酒の話を聞かせていただきました。静岡県もご多分にもれず、やはり日本酒が苦戦しているそうです。ただ静岡県産酒の比率が他県の人が思うほど高くなく、大手のお酒が7割流通しているそうです。

 逆に考えると、まだまだ静岡県のお酒が伸びる可能性はあるようです。その時にお話ししたのは飲食店さんでお燗酒を開運 特別本醸造(1926円)にしていただけると、ぜったい消費者の方々も喜ぶし、消費量も増えるのにという同じ考えを持っていました。

 多くの飲食店さんは、お燗酒に対してあまりにも気を遣わなさすぎます。私の場合大分の飲食店さんには売上を伸ばしたいなら、良いお燗酒を提供するべきですと常々申し上げています。結果売上を伸ばしているお店がほとんどです。

 話がそれましたが、ちょうど搾ったばかりのお酒が数本あったので、それを試飲させていただきました。土井社長はお酒が好きで試飲の時は、決して吐き出さずに全部飲んでしまいます。私はそれを見て、この社長は心から日本酒が好きなんだと尊敬しました。


 その後で蔵の中を案内していただきました。今回の大きな改良点は乾燥した冷涼な空気を送り込む装置です。それをダクトで藏のあちらこちらに送風できるようにしていました。手を当ててみると、当日は雨で湿度が高いにも拘わらず、乾燥した冷たい空気が送られてきていました。それが「もと場」「仕込蔵」「槽場」など至るところに送られてきていました。何とも凄い装置です。

 また大吟醸の仕込藏では順調に醗酵が続いていまして、藏の中には吟醸酒の香りが充満しています。また搾ったばかりのお酒が入った大吟醸のタンクもありましたので、その中から利き酒用に数種類汲んでいただきました。


 藏を見て回った後で事務所に戻ると、先程東京から帰ってきたばかりの土井弥一専務も加わり数日後に迫った静岡県の鑑評会に出すお酒の試飲を一緒にさせていただきました。開運のお酒は、いつもレベルが高くどれもおいしいのですが、さすがに鑑評会に出すお酒と聞くと緊張します。

 とりあえず私も1本選びましたが、それを鑑評会に出したかどうかは分かりません。しかし今年も最高の県知事賞を受賞していました。波瀬杜氏がいなくなって、少し心配していましたが、全く問題なくいいお酒が出来たようです。


 土井社長から「夕食でも」とお誘いをいただきましたが、名古屋に宿を取っていましたし、朝早くから家を出ていましたので、少しでも早くホテルに帰りたかったので、丁重にお断りしました。帰りは掛川駅まで専務の奥様が送って下さいまして17:13分の掛川駅発の新幹線で名古屋まで帰りました。

          土井社長、大変お世話になりました。