「萱島酒類」 2011/6/10(第122回)

 萱島と聞けば、大分県人なら「西の関」とすぐに思い浮かぶはずです。そうあの西の関を醸す萱島酒造さんが、竹田市にあった焼酎蔵を買い取り、その跡地に作った蔵なのです。場所は竹田市の中心部、竹田駅からも500mほどの商店街の中にあります。

 今回お伺いしたのは、2ヶ月に一度大分市内で開催している「豊後麦酎団」の7月の会を担当していただきたく、お願いに伺うのが目的でした。


 竹田市は、私の住んでいる豊後高田市とは、まったく正反対に位置する県内でも最も遠い所になります。高速道路も一部しか使えないので、片道2時間ほどかかります。ほぼ福岡市内に行くのと同じくらいの時間です。


 萱島酒類さんには、事前に電話をしてその旨は伝えていますので、ついでに蔵見学もお願いしました。担当は宮本専務で、以前は大分県酒類卸にいらっしゃったそうで萱島社長に請われて、この会社に入社して、それまで経験したことのない焼酎造りを始めたそうです。

 そうは言っても何の予備知識もなくて、焼酎が造れるはずはありません。当然、県内の蔵元で修行を積んで製造責任者になったということでした。とは言え、決して経験が豊富ではありませんので、二つくり目の今年も手探りの状態が続いたそうです。


 おっとこの藏の焼酎のご紹介を忘れていました。ここ萱島酒類で造られる麦焼酎は「豊後 清明」という一品だけで、その中に20度・25度があるだけという、とてもシンプルな構成です。

 ここの藏の特徴は、米麹・二次仕込みに麦を合わせるというやり方です。この方法は大分的な通常の麦麹・麦二次仕込みとは異なり、壱岐の麦焼酎の造り方に近い造り方です。この方法ですと、米麹由来の甘味のある焼酎が出来ます。

 ただ蒸留の仕方が減圧蒸留なので、常圧蒸留ほど個性が表に出てきません。ですから酒質はやわらかく大人しい(落ち着いた)味わいとなっていますので、20度では、物足りないという方が多いのも頷けます。


 造りもいたってシンプルで、店舗の裏にある蔵は二階が製造場、一階が貯酒場になっています。麹は全自動のドラム式製麹機ですべて造られていますので、二日目に麹を広げる三角棚もありません。それに一次用の小さな仕込みタンク2本と二次仕込み用の大きなタンクが4本あるだけです。そして常圧蒸留も可能な減圧蒸留機これだけが造りに関するすべての機械です。

 宮本専務の説明を聞きながら一通り蔵を見学させていただいた後で、本題の豊後麦酎団について説明し、7月の打ち合わせも終了しました。


 現在、宮本専務と現地雇用の若い人と二人だけでの生産体制です。今後、米麹の特徴を生かした常圧蒸留の商品も開発中ということでした。これからが期待できる非常に楽しみな蔵元さんです。

          宮本専務、大変お世話になりました。