「松露酒造に行く」2002/03/10(第23回)

 好天に恵まれた、2月24日25日で宮崎県の松露酒造と黒木本店を訪問してきました。前日が別府で「奥播磨の斗瓶を飲む会」がありましたので、そのまま宿泊して朝早めに出発しました。別府市から松露酒造のある串間市までは約300kmあります。その間、高速道路はありませんので、ひたすら一般国道を進むことになります。途中の延岡市でガソリンの補給を兼ねてトイレ休憩をした以外は一度も休むことなく串間市まで走りました。

 通過地点の青島付近では読売巨人軍のキャンプ地でして、しかも当日は、近鉄とのオープン戦があるというのですごい車でした。宮崎ナンバーはもちろんですが熊本ナンバー、鹿児島ナンバーが多かったようです。見たい気持ちを抑えつつそこから更に80kmでめざす串間市に到着です。

 お昼前に到着したので約5時間半かかったことになります。なにはともあれ無事に辿り着きましたので、お昼でも食べようと食事をするところを探したのですが、これがなかなかみつかりません。「ジョイフル」はあったのですが、さすがにここまで来て入りたくなかったので(何を隠そうジョイフルの本社は大分県です。)スーパーに行ってオバサンにお尋ねしたところ、近くに食堂があるということなのでそこに行きました。宮崎とくれば「地鶏のもも焼き」が有名なのですがメニューになかったので「とり南蛮定食」を注文しました。それにしても「から揚げ定食」「チキンカツ定食」などと鶏料理の多いこと・・・鶏肉大好きの私としてはうれしいかぎりなのです。

 お腹もふくれたのでそろそろと思い松露酒造さんに電話を入れておおまかな場所をお聞きして伺うと国道から200mほど入ったわかりやすいところに蔵はありました。蔵の入り口の所では矢野専務が出て待っていてくださいました。

 事務所でお茶をいただいて、早速蔵の中を案内して頂きました。残念ながら芋焼酎の仕込は終わっていましたので、きれいに片付けられた蔵を造りの過程の様子がわかるように丁寧に説明していただきました。まず原料処理場、ここで原料の芋を選別し悪い部分は切って捨てます。1次仕込で米麹を仕込んでおいた中に蒸した芋を入れますが、これが2次仕込です。(ここで麦を入れるとむぎ焼酎、米を入れるとこめ焼酎というぐあいにいろんな焼酎になります。)床に2次仕込用のステンレスタンクが10ヶほど並んでいます。そして常圧の蒸留機これで丁寧に蒸留する事であの「松露」の味が生まれるということです。そして貯酒場、蒸留が終わり出来上がった焼酎はここのタンクの中で熟成させて出荷します。

 ひと回り蔵を見てまわって事務所に戻り、お話を聞きますと「まず原料です」とおっしゃいました。あの辺りはシラス台地で非常に品質の良い芋がとれるそうで、農家との直接契約ではないのですが集荷業者が良くて栽培指導などもしてくれるそうです。矢野専務曰く「良い原料を丁寧に仕込んで丁寧に蒸留しています。特別に変わったことはしていません。麹も白麹を使用していまして、それが蔵に合ってるようです。」ということです。奇をてらった造りではなく、「あくまで基本に忠実に丁寧に造る」これが「松露」なんですね。そして実はこれがなかなか難しいんですね。。。

 最後に焼酎滓の処理施設が非常にお金がかかって大変ですとおっしゃってました。事実、蔵の前には排水処理施設と焼酎滓処理施設が稼動実験中でした。今後はこの処理施設を持たない蔵は焼酎が造れなくなるということでした。その施設の前で矢野専務にお別れを言って蔵をあとにしました。

 その日は宮崎市内まで戻り黒木本店の黒木社長と角上工場長と一緒に夕食をともにしまして、楽しい時間を過ごしました。翌日は9時頃黒木本店さんに到着して、再び黒木社長、角上工場長と焼酎の話で盛り上がりました。今回、角上工場長は熊本国税局の焼酎の鑑評会の鑑定員になられたそうです。ちょうど翌日からの焼酎の鑑評会の為にこの日は熊本市まで行くそうで、大変お忙しく途中で退席されました。

 黒木社長も来客に追われてお忙しそうなので、私も蔵を後にしました。帰る間際事務所の従業員の方々が全員でお見送りしてくださいまして大変感動いたしました。やはり伸びる会社、立派な会社は従業員教育が行き届いていて流石だなぁと思いました。これは見習わないと!と思いながら帰途に着きました。