「東北蔵紀行 1回目」2005/3/10(第47回) 今年もバースデー特割を使って東北の山形県「米鶴酒造」と福島県「廣木酒造本店」に行ってきました。毎年のことながら、この季節に生まれて良かったと思います。本来なら「阿部勘酒造」にもお伺いしたかったのですが、日程的にちょっと無理をしなければいけないので、雪国ということもあり余裕を充分取った計画としました。 まず宇佐駅から7時20分発の電車で博多まで行き、地下鉄に乗り換えて福岡空港まで2時間足らずで到着します。福岡発9時30分に乗りますとわずか1時間半ぐらいで仙台空港に到着しました。そこでレンタカーを借りて、いよいよ目的地の山形県に向かいます。仙台空港あたりは太平洋側ですから積雪などありませんので安心して運転できますが、国道4号線を南下して白石市から国道113号線に入り山道にさしかかりると途端に雪道になりました。七ヶ宿ダムに着いた頃には一面の銀世界でして慣れない雪道の運転で緊張の連続です。県境の七ヶ宿町の峠付近では気温は−5度で積雪は道路の両側で2m程になっています。 何とか無事に二井宿の米鶴酒造に辿り着き、場所の確認をしてから宿をとっている米沢市内に向かおうとしていたら「高畠ワイナリー」の看板が目に入ったので、時間も早いし、ちょっと寄ってみることにしましたが、ちょっとガッカリ!なんの変哲もない観光酒蔵でした。気分を取り直してホテルにチェックインするとお客さんが多いので、何事かと尋ねたら「雪灯籠祭り」があるといいます。それで市内のホテルは、どこも満室だったそうです。夜になって食事がてら出かけようとしましたが、雪は降ってくるし−5度ぐらいの気温ですし、会場からも遠いこともあり、あきらめてホテルで食事をとりました。残念!!あの大雪の中の灯籠はさぞや幻想的だったことでしょう。 翌朝、積雪の中を米鶴酒造に再び向かいましたが、凍結のためけっこう怖い思いをしました。蔵に着くと島津専務や須貝杜氏が待っていてくださいまして、ご挨拶もそこそこに須貝杜氏に蔵の中を案内していただきました。3年前に訪れた時と、ほとんど変わっていませんでしたが、麹室に少し手を加えていたぐらいでしょうか。 一番驚いたのは、蔵にストーブを置いてあったことです。もちろん火がついていましたので「温度が低いからですか」と尋ねたら、さすが豪雪地帯、蔵の気温が低すぎて「もろみ」がちゃんと涌かない(醗酵しない)という返事で、九州では考えられないことでした。それ以外では「うきたむ」シリーズなど当店取り扱いのお酒は最高でも1500kgの小仕込で造られていまして、丁寧に醸していただいているから、あの味が出るんだと納得しました。 その後、お酒を利かせていただきましたが、相変わらず派手さがありませんので素人受けはあまり良くないでしょうが、しっかりとしていながら、軽快さも併せ持つ素晴らしいお酒です。特に、はじめていただいた「本醸造」は冷やで旨く、吟醸酒と言っても良いようなお酒でした。これで1926円は安すぎるような気がしましたので、さっそく仕入れることにしました。 久しぶりに須貝杜氏や志賀製造課長(亀粋の栽培もしている)にもお会いできていろんなお話も伺うことが出来て、大変満足した蔵訪問となりました。帰りに島津専務(前杜氏)に食事をごちそうになり、山形を後にしました。みなさん大変お世話になりました。 <つづく> |