「萬乗醸と瀧自慢酒造に行く」2006/5/25(第59回)

 前日の3月3日、名古屋市内のバーで遅くまで飲んでいたため、朝起き出すのがやっとでした。昨夜はご一緒していただいた「はせがわ酒店」の長谷川さんが「萬醸醸造」(醸し人久平次)の蔵元まで行くというので、興味津々だった私も同行することになりました。

 翌3月4日、ホテルに9時に待ち合わせていましたので、そちらに向かいその後名古屋駅から普通電車で5個目の駅だったと記憶していますが「大高」という最寄りのJR駅まで行きました。

 駅を降りて「さぁタクシーに」と思ったらタクシーがいません。仕方ないので、駅前にある看板を見ながらタクシー会社に電話、「すぐに行きます」という返事を貰ったもののここは名古屋市内ですよね?駅前にタクシーがいなくて何処で待機しているのって感じです。

 タクシーでわずか5分ほどで目指す「萬醸醸造」に到着しますが、その途中(蔵の前の通り)の狭いこと・・大型はとても入られないような旧街道と言ったら、まさにピッタリな雰囲気の通りでした。それよりもなによりも蔵そのものが老舗の雰囲気漂う趣のある建物です。中に入ってみると外から見た時よりずっと広く、昔何千石も造っていたのが良くわかります。

 久平治(本名)さんは仕事中で手が離せないというので、杜氏の佐藤さんが出てこられていろいろお話を聞くことが出来ました。その上、蔵の中を隅々まで案内していただきました。その途中で久平治さんが「瓶火入れ」しているところに出会いました。

 久平治さんは瓶火入れの担当だそうで、ストップウオッチを片手に忙しそうに水量や水温の調節をしていました。あとでお聞きするとそれほどデリケートな作業で片時も目を離せないと言っていました。その後、純米吟醸山田錦と別誂を試飲させていただきましたが、両方とも素晴らしいお酒でした。

 帰りは佐藤杜氏に名古屋駅まで送っていただき皆さんと別れました。久平治さん佐藤さん本当にお世話になりました。長谷川さん、ありがとうございました。

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 突然のお誘いで、杉本(瀧自慢酒造)さんのところに行く時間が遅くなり、大変申し訳ない気持ちで電車に乗り込みました。なにせ名古屋から名張までは特急で1時間半以上かかりますので、けっこう時間をみないといけません。

 まだ肌寒い名張の蔵は、名古屋との温度差を相当感じました。挨拶もそこそこに2階の会議室にて、今年のお酒を利かせていただきました。残念ながら最高級酒は(大吟醸、純米大吟醸)出来上がっていませんでしたが、売れ筋の価格帯はすべて試飲することが出来ました。

 その中でも特に印象に残ったものが「本流 伊賀山田錦」と今回入荷した「純米吟醸 備前雄町 斗瓶取り」でした。前者は軽やかな万人向けの高C/Pのお酒でこの価格なら全国でもトップクラスのお酒であることは間違いありません。ただ、濃いお酒や重たいお酒が好きな方には物足りないと思いますが・・後者は米の旨味を充分引き出しながら、やわらかく且つ斗瓶取りならではの絹のような滑らかさを併せ持つ素晴らしいお酒でした。

 ぜひ、この2品は皆さんにお試しいただきたいお酒です。先日の醴泉の会でも他の酒屋さんと話題に上ったのですが、瀧自慢の品質ならぜったい安いし、今のところ引き合いが強すぎて困ると言うこともないので、安心して売ることの出来る酒蔵の一つだと共通の認識で一致しました。

 夕闇も迫ってきたので、蔵見学は特に変更点もないということでしたので、パスしまして、杉本さんに名張駅まで送っていただきました。杉本さんお世話になりました。