「東北紀行 山形」2006/6/25(第60回) 年の初めに「今年も東北に行かないと」など漫然と考えていました。例年ですとバースデー特割を使っていくのですが、今年は締め切りを21日前までと勘違いして取り損なってしまったのです。しかも調べてみると福岡ー福島便が三月いっぱいでなくなるということなので、何としても三月中に行かなくてはなりません。 それでネットで検索すると東北ビジネスパックが最も安いというので、それで行くことにしましたが、提携のホテルが限られていまして宿泊地もかなり限定されるのです(安いから仕方ないけど)。しかも昨年は2便あったのに、今年は午後からの1便しかありません。必然的に二泊三日ながら丸1日は何にもできないのです。 宇佐駅を12:23発で博多駅に13:59着、地下鉄に乗り換えて博多駅12:12発福岡空港に12:18着とまさに綱渡り状態ですが、これで14:40発福島行きの飛行機に間に合います。福島空港には16:15着で、そこから宿泊先の郡山市までリムジンバスで移動しました。 ホテルにチェックインしてすぐに市内散策するも、あいにく土曜日なので雰囲気の良さそうな店は満席で入ることができません。仕方なしに道路を渡った繁華街(駅から見て右側)まで行き、そこで居酒屋さんを見つけてやっと落ち着けました。店内にはいると驚いたことにみなさんの飲み物がビールまたは焼酎なのです。こんなに寒いのになんで日本酒を飲まないんだろう?しかもここは酒処福島県なのに・・・何とも不思議な光景でした。 翌日はレンタカー会社の人にホテルまで迎えに来てもらい、手続きを済ませてから山形の米鶴酒造に向かいました。ラッキーなことにレンタカーは200kmくらいしか走っていない新車でしかもETCを装備していました。 郡山インターから東北道に乗り福島飯坂インターで降りて13号線を山形県米沢市に向かってすごい積雪の中を走ります。米沢市まであと数キロという地点でナビにしたがって近道の「ぶどう、まつたけライン」に入ります。何回か行っていますので、なるほどこれは近いなと納得して走っていましたらあと一山というところで通行止め!(ナビは大雪で通行止めになっていることなど知りませんから無理もないです)愕然としながらも県道1号線に迂回してやっと米鶴酒造に着きました。これで2時間ほどしかかかっていないので近いといえば近いものです。 蔵では前杜氏の島津専務が待っていてくださいまして、蔵を案内していただきました。造りの最盛期ということもあり、蔵の中は日曜日にも拘わらず活気があります。「うきたむ」などの高級酒を造る古い蔵をみて、その後地元用に出している旧二級酒や本醸造を造っている新しい(といっても20年ほど前に立てられた)蔵を見学しました。それで感じたことは、やはり大きな造りでは繊細な味が出せないということでした。数十年前まで日本酒は造れば売れるという時代でしたが、その時に設備投資をして大きな仕込に代えてしまったところが、いま苦労しているようです。 その後高畠町内で米鶴を扱いながらそば屋さん兼酒屋さんをしている「古川さん」でおそばをごちそうになり高畠を後にしました。 ついでと言っては何ですが、せっかく山形まできたのだから「上喜元」の酒田酒造さんを尋ねることにしました。でも地図を見ると米鶴酒造が山形県の東南の端っことすると酒田酒造さんは北西の角っこに位置する訳でして、ほとんど真反対の方角になります。どうせ今日はホテルに帰って寝るだけなので、遅くなってもかまわないという考えで行くことにしました。 途中、断続的に高速も整備されていたので思ったより早く酒田市に着きました。でも鳥海山の近くを通る時の雪の量は半端では無かったです。一時はどうなるのだろうと心配になりましたが、何とか無事に辿り着くことができました。 突然の訪問にも拘わらず、限定給水の真最中でしたので、それが終わってから藏人さん(お名前失念)が蔵を案内をしてくださいました。ここの蔵はすべての酒を10kg入りのザルで限定給水するそうで、1,000石の造りのすべてをするなん考えただけでもゾッとします。そして何より使うお米の種類が多いのがこの蔵の特徴だそうです。仕込はすべて小仕込で、できたお酒は瓶貯蔵で冷蔵庫へと細部にまでこだわった姿勢は素晴らしいの一言に尽きます。こういうお蔵だからこそ、こんないい酒ができるんだと納得して帰路につきました。 山形道で村田ジャンクションまで行き、東北道に乗り換えて郡山まで3時間半くらいで着いたので日本海から太平洋までは、そんなに遠い距離ではないんだと実感した一日でした。 |