「天法酒造に行く」2007/4/25(第70回)

 実は今まで群馬県と長野県は、隣り合わせにあるくらいは、何となく理解していましたが、島岡酒造さんから天法酒造さんまでが1時間半くらいでいける距離だとは知りませんでした。今回それを発見(ちょっと大げさですが、なにせ大分市から隣の県の宮崎市までは4時間近くかかるもので)したので、天法酒造さんにお邪魔するようになったというのが真相です。

 島岡酒造さんを夕方5時過ぎに出たあと、本日の宿泊先である長野県上田市に向かうため、北関東自動車道の伊勢崎インターを目指してカーナビの指示通りに行きました。夕方のラッシュ時間帯ということもあり、若干混んではいたもののだいたい予定通りに進みます。北関東自動車道〜関越自動車道〜上信越自動車道と進み、上田菅平インターで降りて、約1時間半くらいでホテルに到着しました。

 翌日、蔵のある千曲市(旧埴科郡戸倉町)にカーナビをセットして、国道18号を北上しました。約束の時間通り9時前に蔵に到着しまして、日曜日なのに、わざわざ出勤してくださっり、しかも怪我をして入院中だった、寺澤さんが病院から出てきてお待ちいただいていました。

 挨拶もそこそこに、早速蔵に入り瀬川杜氏にお会いして、蔵の中を案内していただきました。瀬川杜氏とお会いするのは、瀬川さんが磯自慢にいらっしゃった頃ですから、かれこれ10年ぶりくらいになります。蔵では甑倒しも終わり、あとは搾りや火入れ作業を残すのみとなっていました。一通り案内していただき蔵の屋上に上ると隣に元々の蔵元さんの家があり、さすが造り酒屋さんだけあって、立派な建物でしたが、今は倉庫代わりとなっているそうです。

 あたりを見渡すと住宅に囲まれた立地で、いろいろご苦労があるだろうと想像できます。また廻りの山々にはほとんど雪もなく、今年がいかに暖冬であったか判ります。例年ですと膝くらいまでは積雪があるとのことです。ここは山に囲まれた盆地のような地形で唯一北西の長野市方面だけに山がありません。この地形を見ると相当冷え込むようなところだと簡単に想像できます。日本酒を仕込む蔵の条件としては、廻りの住宅地を除けば、すばらしい環境ですね。

 蔵を見せていただいた後、事務所に戻り早速お酒を利かせていただきました。今年のお酒と寝かせたお酒を、数種類試飲しましたが、やはり熟成されたお酒はおいしいですね。もちろん今年出来たお酒もおいしいのですが、美味しさの輪郭の太さが違います。いずれ出荷されるとのことで、とっても楽しみにしています。

 この蔵は、現在大きく青果業を営む武田さんによって経営されています。その娘さんも事務所にいらっしゃって、お茶やお漬け物を出していただき、おもてなしをしてくださいました。午後からは私も存じ上げている群馬の酒屋さんがお見えになると言うので、そうそうに蔵をあとにしました。午前中の短い時間でしたが、本当にお世話になりました。


           次回は「福島県 廣木酒造本店編」です。