「黒木本店に行く」2007/7/25(第72回)

 7月22日の日曜日に「奥播磨」の九州地区会が宮崎で開催されました。九州内 の特約店5名と蔵元からは原田さんがお見えになって、和やかなお酒の会となり夜遅くまで楽しい時間を過ごすことができました。

 それでついでと言っては申し訳ないのですが、黒木本店さんにお伺いすることに しました。

 黒木社長は前日が大阪での仕事があり、朝一番の飛行機で帰ってくることになっ ていましたので、ホテルでゆっくり朝食を取り、10時過ぎにお伺いしました。

 すでに、社長は会社に帰っていらっしゃって、すぐに応対していただきました。大阪では、深夜1時頃まで飲んでらしたそうですが、朝5時に起きて帰ってきたと言うことでしたので、とっても恐縮してしまいました。

 雑談する中で、今後の展開などもお聞きしてたら、尾鈴山蒸留所の中国製のかめを廃棄して、あらたに飫肥杉で作った木桶の醗酵タンクの具合が非常に良くて、製造に携わっている人たちも造りがやりやすいということでした。それで今年は本店にある大きな醗酵タンク(琺瑯製)も、総て木桶に切り替える事にしたそうです。

 また、中国の話が出た時に「食の安全」についての話もでて、黒木さんは原料にこだわりを持ち、農業法人まで設立し、自社で原料を賄うことを目指して、その方向に近づきつつある事や「ものづくり」の理想を追い求めて「完全なるリサイクル」の実現を試みていることなど、これからの蔵元の指針となるような取り組みを進めています。

 ここで言う「完全なリサイクル」とは、原料の栽培に始まり、焼酎の仕込を経て排出される有機性廃棄物(焼酎カス)を再生処理して土壌改良材「甦る大地」として地元農家及び自社農業法人にて肥料として使われています。また有機性廃棄物を飼料化プラントで、家畜用の栄養価の高い飼料としてもリサイクルされます。

 この飼料を使って育てた豚肉は「フレッシュワン」という会社から「あじ豚」の商標で販売されています。

 このような一連の流れを成功させるために、長い間苦労をされてきたそうです。またそれを貫くための精神力や弛むことのない向上心などお会いするたびに感銘を受ける方です。

 少し時間をいただき、蔵を案内していただきましたが、すでに木桶を入れるための準備をしていました。それと酒母室(一次もろみ)のかめ壺仕込部屋の内側をステンレスで掃除がしやすいようにと囲ってしまっていました。これもあくまで品質向上の一環として取り組んでいることでして、結果として酒母室の嫌な香りがなくなったり、壁にカビの発生がみられなくなったそうです。

 工場内には木々がふんだんに植えられて、とても町の中心部とは思えないような豊かな緑が拡がっています。従業員の方も礼儀正しく、大きな声で挨拶していただき、社内教育が行き渡っているのが良く判ります。このようにすばらしい環境の元で造られる焼酎を飲めるお客様は幸せだと思いました。

 このように「食の安全」や「品質向上」に熱い情熱を傾ける黒木本店さんの商品を今後ともよろしくお願いいたします。