「中野酒造」 2010/1/10(第105回)

 以前より、問屋さん経由でお取引はあったのですが、イマイチ乗り気でなかったお蔵さんが、最近お酒が良くなったと判断したので近くでもありますし、久しぶりに遊びに行ってきました。

 蔵元のある杵築市は、当店のある豊後高田市とは隣り合わせで、どぶろく祭りで有名な救大田村を越して、波多方峠をおりれば車で20分ほどの距離になります。

 以前この蔵元さんは、PB商品やパック酒などの安かろう悪かろうのお酒を大量に生産していましたが、6代目の中野淳之さんが帰郷して以来、安酒は止めて生産を特定名称酒と手造りのお酒にシフトしていきました。

 その甲斐あってか、昨年の卸屋さんの展示会に出されていた純米酒は価格が安い割りに、しっかりした味わいがあり好感の持てるお酒でした。それで早速注文しました。その時感じたのは、まだまだ伸びる要素が、たくさんあるなという印象を持ちました。


 この藏には数年前に県内大手卸屋を辞めて、酒造りがしたいと入社した「池田さん」がいます。彼とは問屋時代からお付き合いがあり、また彼のお兄さんが、私と同業の酒屋ということもありまして、何かと良く話す間柄でした。

 彼が入社したときには、すでに大量に作る設備も廃棄していまして、その代わりに別会社の焼酎製造の「みろく酒造」を立ち上げたときでした。こちらは焼酎ブームにも乗り業績も順調なようです。ですから彼は日本酒の製造時期以外は、みろく酒造にて焼酎の製造も担当しています。


 今回お邪魔してみると製造場はコンパクトで、以前あったパック詰めの機械などは片づいていました。仕込は普通酒以外は600kgの小仕込みで、そのほとんど(大吟醸以外)が純米酒という配分になっていました。ちょうど純米吟醸の醪が2本、酵母違いで立てていたのでそれを見る事ができました。非常に良い香りがしていまして期待の持てるお酒になりそうです。

 麹室は仕込蔵の二階にあり、箱麹を30kg単位で盛っていました。ちょっと手狭な感じはしましたが、蔵の規模から考えても、仕方ないかなという感じです。余裕があればもう少し広く取りたいところです。槽場は前杜氏の漆間さんが、東一の勝木部長の弟子と言うこともあり、東一同様プレハブ冷蔵庫で覆われていました。県内では珍しい設備です。


 一通り見学を終えて、池田さんとお話したのは、藏の課題として現在の問屋メインの取引をいかに専門店にシフトしていくかが大きな問題点ですね。と伝えて蔵を後にしました。

           池田さん、お世話になりました。