「佐多宗二商店」 2012/2/25(第129回)

 1月22日(日)朝8時に家を出て大分へ、レンタカーに乗り換えて鹿児島に向かいました。今回はルートを替えて久住・阿蘇・熊本空港インター経由で行くことにしました。曇り空の中、大分市からは久住・阿蘇の雄大な景色を楽しみながら、2時間20分で熊本空港インターまで行けます。そこから高速に乗り、一気に人吉まで1時間ほどで到着です。

 今回は出張のついでに人吉にある「青井阿蘇神社」に参拝するのも目的のひとつでした。ここは国宝に指定されている神社で九州に5ヶ所ある国宝建築物の一つです。すでに4ヶ所は制覇していましたので、ここが最後の国宝となります。茅葺きの立派な山門があり、本殿も茅葺きという珍しい建物でした。同じ国宝の宇佐神宮などとは建築様式がまったく異なります。

 『阿蘇神社の御分霊をお祀りした神社は、全国に523社が鎮座し九州に509社が鎮座し、青森県を北限とし本州に14社が確認されていることから、古来より開拓の神として厚い信仰が寄せられてきたことが伺えます。』 神社HPより抜粋

 参拝を終えてお昼にしようと探していたら「手打ち達善」という蕎麦屋さんが目に入ったのでそこで「せいろ蕎麦」を注文しました。ここの薬味は山葵・おろし・ネギと3種類乗っていました。何も付けずに蕎麦の風味を確認した後、好みで薬味を入れていただきましたが美味しかったです。またそれ以上にお店の雰囲気が良く「球磨焼酎案内人 認定書」というのを店内に掲げていましたのでそちらに感心しました。

 それから高速を経由せず大口市経由で鹿児島に向かいました。このルートは初めてでしたので新鮮でした。道路は整備されていまして走りやすかったですね。再度横川インターから高速に乗り鹿児島市内のホテルに到着したのは午後4時頃でした。

 翌日は10時に佐多宗二商店に到着して、営業担当の有馬さんの案内で蔵を見学しました。蔵自体の建物は大きく、かなり造れるんではないかと想像していましたが、中はゆったりとした配置となっていまして、建物の割にはたくさん造れないんだと感じました。

 原料処理に力を入れているようで、芋の加工場はたくさんの人が効率的に作業できるように配置されていました。圧巻だったのは長さが20m以上あろうかという蒸し器です。通常はバケット状になった入れ物に蒸気を入れて蒸しますが、ここは日本酒の自動製麹機のようにベルトコンベアーに載せられた芋がゆっくりと移動しながら蒸されていくという優れものでした。この方式ですと蒸らす時のムラがなく均等な蒸し具合が実現できるということでした。

 隣接の仕込藏でまず見学したのは、かめ壺仕込専用の壺がたくさん並んでいた部屋です。しかも一次仕込専用・二次仕込専用と部屋が別れていました。なんとまあ贅沢な造りでしょう。そこを通り過ぎて3階にある製麹のフロアーに行きました。そこにはドラムが三台あり、それぞれ大きさが違います。一番小さなドラムの横には三角棚がありました。大きい方のドラムはその中で出麹までしてくれる最新式のドラムだそうで、種付けした翌日に三角棚に移す必要がないものでした。

 下の降りて仕込藏を見るとタンクが、一次仕込・二次仕込の部屋に別れて置いてありました。しかも製麹のドラムの大きさに比例するよう一次仕込用・二次仕込用のタンクが3種類の大きさにわかれていました。「う?ん、ここまでするんだ!」と感心してしまいました。

 当然のごとく蒸留機も大きさが違っていまして、一番小さい昔ながらの蒸留機が二台、そして大きさの異なる蒸留機が別に三台。なんとも贅沢な布陣です。しかも一番大きな蒸留機は減圧蒸留も可能な蒸留機でした。

 隣には蒸留した焼酎を一時的に貯蔵するタンクがあり、ここで表面に浮いた油をある程度すくい取ります。その後、奥にある大きな貯蔵タンクに移動します。ここで均一に馴染ませた焼酎が、最奥にある割水用のタンクにいって割水され25度に調整されて瓶詰めラインに行きます。ここまでが仕込の蔵ですが規模は大きいものの、す作業自体は小さな蔵とまったく同じ、むしろそれ以上に気を遣って仕込を行っていることがよく理解できました。

 瓶詰めラインは、人が要らないようにかなり省力化されていまして、P箱に入れるのはもとより、パレット積みまで自動化されていました。

 最後に昔仕込蔵だったところに案内していただきましたが、今は貯蔵庫になっていました。この小さな蔵がここまで大きくなれるんだと感心しましたし、見習わなければならないことも多数発見した蔵見学でした。


           有馬さん、大変お世話になりました。