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「藏入り」(2003.10.12)
10月もこの時期になると、そろそろ「藏入り」の話も聞こえてきます。これから半年にわたって酒造りが行われますが、その間ふるさとを離れて酒造りに励むのです。しかしながら最近では、どこの藏も年間雇用で地元採用の人が増えて、この光景もあまり見られなくなりました。
「地酒はアナログ」(2003.5.10)
「うきたむ 5月号」で梅津社長がおもしろい表現をされていますので、ご招介いたします。
▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽ ご本人のお話
『地酒はアナログ』
デジタル録音のCD・DVD全盛時代に、旧式のLPレコード・ピックアップ・真空管アンプにこだわる頑固なアナログ愛好家が少なくない。伝統を尊ぶ蔵元としては、地酒はアナログでなければならないと信ずる。
人間が感知する要素だけを点でつないだデジタルは、点と点の間に省略がある。食品は自然の産物であり、省略があってはならない。合理化とは人間が感知できない部分の省略である。
大自然の営みが醸す、その風土の夢とロマンを映す地酒は断じて省略のないアナログであるべきで、それでこそ心に沁入るお酒が生まれる。
△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△ 引用おわり
なかなかおもしろい言い回しだと妙に納得いたしました。
「資格」(2003.4.10)
私の友人で今回「焼酎アドバイザー」に合格したお客さんがいます。彼女はこれまでに「ワインエキスパート」「ビアテイスター」「きき酒師」などの資格を取得していますが、決してこの業界の人ではなく、普通の勤め人です。彼女をここまでにさせる「お酒」ってホントにすごいと思いませんか?ちなみに私は何も持っていません。(すんごい自慢?)
「綿濾過(めんろか)」(2003.3.25)
お酒を瓶詰めする前には「濾過」という工程を経て仕上げますが、濾過財としては「炭素粉」「珪藻土」なども使用しますが、「木綿の繊維」も使用します。
綿状の木綿を煮沸することで不純物を取り除くことができるので、他の濾過材より純粋な物が得られますし、酒質にもっとも影響を与えない「高級酒向き」の濾過材です。
「全国新酒鑑評会の成績」(2003.3.10)
今回、何軒かの蔵元さんを回って感じたことですが、それは雇われの杜氏さんはやはり全国新酒鑑評会の成績が全てなのだと・・・
経営者が自分でお酒を造っているところはそうでもないんですが、杜氏さんが来ている蔵は、全国新酒鑑評会で金賞を取るためのお酒を仕込んでいるのです。つまり売れる酒や売りたい酒ではなく、金賞を取るためのだけのお酒を造っています。
経営者としては無駄なお金と分かっていても杜氏さんの名誉のためにそれを認めています。ある蔵元さんがおしゃっていましたが、金賞を受賞するということは、本人の名誉もそうなのですが、留守を預かる奥さんの勲章でもあるそうです。
そんな話を聞くとなおさら、金賞のお酒の判断基準を見直さなければいけないように感じました。
「お酒の傾向」(2003.2.25)
今年の米はあまり溶けないのだけれどもアルコールが良く出るそうです。アルコールの出ている割にはお酒がきれいで蔵元さんにとっては「収得歩合」がよい、ありがたい年になっているようです。
長期予報によると暖冬ではと騒がれたものの、予想に反してかなり冷え込んだので造り自体も順調に推移してきているようです。
あと鑑評会を意識しない造り手が増えてきたのは嬉しい傾向であると言えるのではないでしょうか?
「「こす」と「濾過」」(2003.2.10)
今回「居酒屋ML」のメンバーであります。株式会社フルネットの中野 繁社長から「こす」と「濾過」に対する質問で丁寧に教えていただきましたので参考として掲載いたします。
『清酒の「こす」という定義ついて、皆さんかなり誤解や認識不足があるようですので、この際、文章が長くなりますが、はっきりと説明させていただきたいと思います。
この件に関しては一般消費者の方から、“よくわからない”という質問が寄せられていますので、小社発行の出版物(2月末発刊)「『地酒人気銘柄ランキング2003』に詳しく説明するページを載せることにしています。
前回、「こす」という条件は、「搾り」という工程で達成されるという、あいまいな説明をしましたが、酒税法に規定する「こす」という定義は、酒税法の法令解釈通達には次のように明文化されています。
つまり、「こす」という意義は、『酒類の製造方法の一つである「こす」とは、その方法のいかんを問わず、酒類のもろみを「液状部分」と「かす部分」とに分類する全ての行為をいう』と規定されています。
したがって、布袋であろうが金網であろうが、どんな方法でもいいのです。要するに、醪を「こす」とい定義は、その方法に関しては何の制限もなく、ただ一つの条件として、「液状部分」と「かす部分」とに分類できれば、どんな方法でもよいというのが現行の酒税法の規定です。
このことは、国税庁のホームページにはっきりと明記されています。(下記ページの「第3条 その他の用語の定義」の、10 「こす」の意義をご参照ください)
http://www.nta.go.jp/category/tutatu/kihon/36/2-02.htm
ですから、例えば、醪を容器の中に長時間保存して「かす部分」を下に溜め、「液状部分」を上に分離するようにして、その「上澄み」だけを取り出した場合も「こす」という定義に合致していますので、立派な「日本酒」です。ただ、「こす」という定義は、けっこうあいまいですが、目の粗いザルではこせません。
ゆえに、最新の「遠心分離機」による搾りは、醪を「液状部分」と「かす部分」とに分類する工程を、国税当局が認知していますので、最新テクノロジーによる絞り機「最新のこす機械」として注目をあつめています。
ちなみに、この「遠心分離機」なるもの、東京のコクサンという医療機器メーカーが製造しており(開発者は秋田県の酒造研究者)、1台約1500万円くらいするそうです。
第1号は、山口県の「獺祭」旭酒造ですが、発売後2年間で10蔵に納入したとのこと。(「獺祭」以外は、企業秘密として公開していません)
最後に、「こさない」とどうなるかについて説明します。酒税法の規定通り、「こさない」と清酒(日本酒)の範疇にははいりません。それは酒税法上「雑酒」に分類されます。
それは、巷間言われる「どぶろく」なのですが、酒税法には「どぶろく」という表現はありません。奈良県のある蔵はラベルに「どぶろく」と書いて商品化しています。とても、個性的で、おもしろい酒です。
こしたら日本酒、こさなきゃ雑酒、国に収める税金は天と地ほど(?)違います。「こす」と「濾過」は全く別次元のもの、居酒屋メーリングリストメンバーの皆様はくれぐれも、正しくご理解ください。』
「生酒」(2003.1.25)
この時期になると「生酒」がたくさん出回ります。おさらいの意味で「生酒」とは・・・
普通のお酒は搾った後と出荷する時にと2回加熱殺菌(これを火入と言います)を行いますが、その加熱処理(火入)を行わない酒のことを言います。一概に「生酒」と言いましてもその中に3種類の「生酒」があります。
1、全く火入れしないお酒を「本生(ほんなま)」あるいは「生生(なまなま)」と言いいます。
2、火入れせずに貯蔵し、出荷前に1回火入れしたものを「生貯蔵」と言います。
3、お酒を搾ったあと1回火入れして貯蔵、そのまま出荷するものを「生詰」と言いまして、それぞれ区別しています。
「一粒の籾から」(2002.11.25)
みなさんは「一粒の籾」から、どのくらいのお米が取れるかご存知ですか?一粒の籾は田んぼに植えると、6本から10本の茎に分けつします。しかし田植の時に苗の本数が多いとあまり分けつしません。1本の茎に一房の稲穂ができ、一房の稲穂は100粒から130粒の籾を実らせます。つまり一粒の籾は1000粒のお米になりますから、すごいことだと思いませんか。
「麹菌の種類」(2002.7.25)
米・麦等の麹原料を蒸し、蒸し上がった原料に麹菌を生育させたものが麹です。麹を造ることを製麹といいますが、主に日本酒に使われるのが「黄麹」で本格焼酎に使われるのが「黒麹」や「白麹」です。最近ではこれらの麹を使った焼酎造りが注目されています。
1、黄麹
清酒製造で用いられている黄麹は焼酎製造でも明治40年代までは使われていましたが、九州が温暖な地域の為もろみが腐造するということが多かったので現在ではほとんど使われなくなりました。
2、黒麹
もろみの腐造が多かった為、明治末期に注目されたのが、沖縄の泡盛製造で使われていた黒麹菌です。黒麹菌を使ってみると一切腐造が無くなり、焼酎の収得量も増えました。これは黒麹菌が生成するクエン酸が腐造防止に大きな効果があることがわかったからです。
3、白麹
大正時代に入り、それまで作業者の体や衣服を黒く汚す欠点のあった黒麹菌から白麹菌が分離されました。白麹菌は黒麹菌と同様クエン酸生成力が強く、汚れをなくし焼酎の味と香りをソフトにする菌でした。そしてこれらの良さが昭和20年代から広く知れ渡るようになり、白麹菌は普及していきました。
「焼酎の快進撃」(2002.5.10)
焼酎ブームと言われて久しいのですが、その勢いはなかなか衰えることを知りません。うちのデータですが5年前と比較すると約8倍の伸びです。(3月分)
特に3年前からの伸びは著しくびっくりするばかりです。大分はもともと焼酎県なのでそれほど影響はないだろうと考えていましたが、とんでもありませんでした。日本酒は微増に留まっているのに何故にここまで差が出てきたのでしょう?
一度詳しく研究しなければいけませんね。
「日本酒の保管温度について」(2002.4.25)
先日、ある方にうちで買っていただいた義侠の30%を飲ませていただきました。ブラインドなので義侠まではすぐわかったのですが、問題はそこからでどのくらいの精米歩合かわからない?きれいな酒だけど少し老(ひね)ている・・・ということは40%か50%だろうと推測しました。しかし結果は30%・・おかしい??あとでその訳がわかりました。なんと12℃のワインセラーで保管していたということです。
それで感じたのは、やはり保管の温度の大切さです。特に生酒の場合にはマイナス5℃が保管の温度として適しているようです。山田錦は特になま老香(ひねか)が出やすいので注意が必要なようです。長期に家庭で保存される時はチルド室などが良いようです。火入酒の場合はもっと温度が高くても大丈夫です。
「活性生酒の熟成酒」(2002.4.10)
いま当店に米鶴の鶴翔(純米大吟醸)の活性生酒12BYがあります。
一昨年の12月にでたものですが、売れずに残っていましたので、先月末の花見の時
に持って行って飲んだのですが、これがまた旨い!!
正直言って活性生酒を熟成させて飲むことがなかったので、貴重な体験となりまし
た。同時に今年の新酒を飲んだのですが、新酒が残ってこのお酒はすぐに無くなりま
した。炭酸もしっかり残っていましたし、熟成もほど良く進んでいたのでなんとも言
えぬおいしさでした。もし興味があるならお問い合せください、お薦めします。
やはり「熟成酒」は研究の価値が多いにあると思った花見でした。
「無濾過生原酒は終わりにしませんか? 2」(2002.3.31)
やはり同じお考えをお持ちの方もいらっしゃるんだと思いました。
日本酒研究家の松崎晴雄さんが同様の事を書いた記事がありましたのでご紹介します。
「酒販店経営」 春号より
▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼ 以下転載して抜粋しています。
酒販店主、料飲店主がすすめる酒を別々に利き酒してみたが、概して前者の方がいま流行の「無濾過生原酒」を筆頭に香味ともに華やかで重厚なものが目についた。やはり一口めのインパクトの強さ他の一般的な酒との差別性を考えると、このようなタイプのほうが売りやすいということがあるのだろう。
それに反して料飲店主のお薦めは、総じてさらりとして軽妙な飲み口のものが多い。料理との相性や量を飲むという視点でみると、あまり強烈なイメージの酒は好まれないということか。双方の意識の違いがこのような形で現れているのが面白かった。
<中略>
料理をつつきながら宴へと移行していったところ、どうも無濾過生原酒タイプは一向に盃が進まない。質量感のある酒質から「お腹がいっぱいになる酒」というのが私の実感であった。
▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲ 引用おわり
このことからもお解りいただけるように「蔵元、酒販店」と「料飲店、消費者」の間には認識の違いがあるようです。それを理解して販売できる酒販店がどのくらいあるかということも疑問です。
誤解の無いように申し上げますが「こてこて」でないものは好きです。
「無濾過生原酒は終わりにしませんか?」(2002.3.10)
蔵元さんに一言!! もうそろそろ「無濾過生原酒」は終わりにしませんか?
もうコテコテの「無濾過生原酒」は辞めませんか?確かにインパクトはありますし「出来たままの酒」というコンセプトは良くわかります。しかし、良く見てくださいそんなお酒ばかり飲まされたのでは大変です。「飛露喜」のようなきれいなお酒は、例外もありますが、ほとんどの蔵元さんはこれでもかこれでもかというぐらいのお酒をだしています。
日本酒の会などやると良くわかるんですが、生酒ばかり並べたお酒の会は量が減りません。逆に火を入れたお酒(1回のみ)の方が量的にははるかによく捌けます。
生も生なりの良さがありますが、火入をして落ち着いたお酒には適わないような気がします。日本酒ってもっとじっくり飲みたいお酒です。それに火入のお酒の方が、いろんな飲み方が出来て楽しいように思います。
反対意見お待ちしています。m(__)m
「ビオ・デナミ」(2002.1.25)
最近ワインの造り手で盛んに取り入れられている農法として「ビオ・デナミ」(バイオ・ダイナミックス)というのがあります。この農法で造ったワインは「ミネラル感」が豊富で驚くほど「長命」になるそうです。
先日、別府でフランスのM・シャプティエ社の方をお招きして勉強会および試飲会がありましたので参加してきました。この造り手の所では1998年からこのビオ・デナミ農法を取り入れましたが、それを認定されるまで3〜4年かかったそうです。
そのビオ・デナミ農法とは除草剤、防虫剤、化学肥料や有機肥料も一切使用しないことだそうです。そうすることによって根が養分を吸収する為に地下深くまで伸びて行くそうです。場所によってはそれが100mにも及ぶそうです。するといろんな土の層を通るのでその層のミネラル分をたくさん含んで実に栄養を送ることになるそう
です。
でもこれって決して新しい農法ではなく、大昔からの造り方なんですね。自然に逆らわず、自然の恵みに感謝して、自然とうまく付き合えということなんですね。
「新酒」(2002.1.10)
いま、新酒がどんどん発売されています。昔は冷蔵設備が充分ではなかったので、ごく限られたお酒が主流でした。例えば本醸造や普通酒の原酒(アルコール度数が19度〜20度もあるような)がほとんどでした。アルコールを添加して度数の高いまま出荷すれば、流通の過程で「火落ち」する危険が少ない為、冬場のみ取り扱っていました。
ところが今やその種類は、ありとあらゆるお酒にまで広がっています。本醸造はもちろんのこと純米酒、吟醸酒、大吟醸にいたるまで「生酒」という形で出荷されています。できたばかりのお酒を蔵で飲むのと同じように飲めるようになりました。これってスゴイことですね。
搾ってすぐのお酒は、お酒の中に「炭酸」が含まれていますので、口に入れるとピリッとしてなかなか刺激的です。また「生酒」は日々お酒が変化しますので、これも楽しみの一つです。
あと、ご家庭で「生酒」を保管される時は、一升瓶なら4合瓶へという風になるべく小さな容器に移して空気に触れる面積を少なくしてください。これは普通のお酒にも言えることですので、空になった4合瓶を捨てずに何本かとっておくことをお薦めします。
では、今しか飲めないいろんな「生酒」をおたのしみください。
「酒造年度」(2001.10.25)
この業界の年度は一般会計年度と異なり(通常は4月〜3月)7月〜6月が1酒造年度になります。したがって今年の6月までに出来上がったお酒は、平成12酒造年度となり、7月以降のお酒が平成13酒造年度のお酒という事になります。あくまで製造の事で出荷は関係ありません。
「最近の蔵元さんの姿勢に?」(2001.9.25)
先日、名古屋の友人を連れて「浜嶋酒造」に行きました。今は造りの時期ではありませんので、見るところはありませんが「お取り引き」の件でと言う友人の頼みで一緒にお伺いしました。浜嶋専務にいろいろお話を伺っていると今期の酒造計画の話になりました。
今期は普通酒を減らして、特定名称酒を増やすそうですので最終的な出荷量は変わらないそうです。なかでも現状を反映して「純米酒の系統」を増やすそうです。最近の傾向として特定名称酒の中でも「純米酒」の割合が年々高まりつつあります。
これは、消費者の食生活の変化と本物志向によるところが影響しているように思われます。洋食化による食べ物との相性で日本酒の中でも酸の多い「純米酒」が好まれているように感じます。
最近の「鑑評会」のお酒を飲んでも感じる事ですが、何のための「アルコール添加」なのか?理解に苦しむ事が頻繁にあります。やはり「純米酒部門」を作って、そこで競うべきではないでしょうか?あまりにも世間の意見とかけ離れたところでやる「鑑評会」の意義さえも疑いたくなります。そして、それに載せられている蔵元さんの姿勢も考え直して欲しいものです。
※もし酒造関係の方がご覧になっていて、気分を害されたらメールください。
「日本酒とウナギ」(2001.7.25)
暑気払いには、やはり「日本酒とウナギ」だねということで、ピッタリの飲み会がありました。
今回お世話してくださったのは以前にも何回かお邪魔した、大分市内のフレンチのお店「オーベルジーヌ」です。このお店独自のワイン会の番外編として今回の「日本酒の会」が開かれました。もうかれこれ3回目になりますか・・
当日のお酒はちょっと予算があるということで「純米大吟醸」クラスが主体になりました。まず、この季節にピッタリの発泡性のある「米鶴 鶴翔あらばしり」で乾杯です。とりあえずこの「シュワシュワ感」を楽しんでいただきまして、いよいよ料理との相性を探ります。この日はオーナーシェフの星野さんが帽子を手ぬぐいに変えて居酒屋の大将という趣で、日本料理に挑戦してくれました。
出てきた料理は「カンパチのお刺身」です。これには「義侠 生50%」を合わせました。続いて「うなぎの素焼き」これには「早瀬浦の純米大吟醸 2000」を持ってきて料理とお酒を楽しんでもらいます。
箸休めで出てきたのが「サラダ」と「牛蒡の胡麻和え」ここで「醴泉 純米大吟醸」を出してチョット一息ついてもらいました。このお酒は火入でしかも充分熟成させていますので、サラッと軽い口当たりでいくらでもいけます。
次に出てきたのがこの日のお客さんがその朝に釣ってきたという「ヤマメの塩焼き」です。ここで「松の司 純米大吟醸 1999」をお薦めしました。最後に「うなぎの蒲焼き」が出てきましたので、「奥播磨の純米吟醸 斗瓶取り」を出しました。
こうして料理と日本酒の相性を充分堪能していただきましたが、驚いたことに14人で一升瓶が6本きれいに空いてしまいました。(女性が6人もいたのに・・・)
星野さんとは事前の打ち合わせはほとんどせずに「うなぎ」が出ますぐらいの事であとのメニューは知りませんでしたので、どの料理に何をあわせるかは、その場で決めたのですが、かなり気を使ったのは言うまでもありません。
参加された みなさんが、とても喜んでくれたのが「酒屋冥利」に尽きました。
みなさん ありがとうございました。
「お米の心白」(2001.7.10)
白米を見ると乳白色で半分ぐらい透き通ったように見えます。そのような白米の中に、米の中心部が白く濁って見える米粒があります。この濁って見える部分を「心白」といいます。
この「心白」は組織が荒いので砕けやすく水にも弱いものですが、酒造好適米としてみる時には評価の高いお米になります。「心白」ができるほどデンプンの蓄積スピードが早い、つまり大粒米になる素質を持っています。
杜氏さんは、昔から「心白のある米はいい麹ができる」と言ってきました。酒造りにはいい麹が必要です。米の芯が心白で軟らかいため、麹の菌糸が食い込みやすく、いい麹ができるようです。「活性炭」による濾過を盛んに行ってきましたが、ここ最近になってそれをやめる蔵が増えてきました。その理由は、高精白のお米を使うようになって必要以上に濾過をしなくなった事や素顔の酒が消費者に認知されるようになった事でしょうか。
前者はより磨いた米を使うようになったので、色もあまり付かず雑味も少なくなったのでフィルターによる濾過だけで充分間に合うようになった事です。
「活性炭濾過」(2001.6.14)
昔から「活性炭」による濾過を盛んに行ってきましたが、ここ最近になってそれをやめる蔵が増えてきました。その理由は、高精白のお米を使うようになって必要以上に濾過をしなくなった事や素顔の酒が消費者に認知されるようになった事でしょうか。
前者はより磨いた米を使うようになったので、色もあまり付かず雑味も少なくなったのでフィルターによる濾過だけで充分間に合うようになった事です。
後者は消費者が日本酒は色が着いていて当たり前であると認識するようになってきた事での必要性の低下です。
いずれにしても化粧をせずにそのままで飲めるお酒が増えてきた事は歓迎すべき事でしょう。おいしいお酒が飲める事の幸せはこんなところからもわかります。
「蔵元さんの現状について」(2001.5.25)
「蔵元さん」の現状について一言、最近蔵元さんからの売り込みがたくさんきます。何も、こんな田舎の酒屋まで来なくても都会にはもっと販売力のある酒屋さんがたくさんいらっしゃるのにと不思議に思います。
それだけ蔵元さんが危機的な状況に陥っている証拠でしょうか。いま日本酒業界は大変革の時代にあります。まず日本酒が飲まれなくなってきた事、その上に経営の柱であった普通酒の激減、杜氏さんの高齢化に伴う後継者不足などなどいろんな問題が山積みになっています。
自然淘汰の世の中で仕方のないことかも知れません、また経営者の努力不足もあるでしょうが、ここで今一度みなさんに考えていただきたいことはこのまま「日本酒」が衰退しても良いのでしょうか?考えてみてください。
「日本酒」は米からできています。「日本酒」の消費が減るということは、すなわち米の消費が減るということは、つまり農業が衰退するということです。いま日本の食料自給率は20%台にまで落ち込んでいます。このままの状態で推移すると日本の国土自体が壊滅的状況に陥ります。もっと国全体の事を考えると林業や農業を育てて行かなくては美しい日本は戻ってきません。
ということでおいしい日本酒もっともっと飲んでください。そして酔ってください。
「兵庫県産山田錦について」(2001.5.10)
だいたいどこの蔵元さんに聞いても最高の酒米は「兵庫県の特A地区の特上米」の山田錦が最高であるといわれています。(もちろん違うという蔵元さんもいらしゃいますが)それが酒造業界の常識になっています。
兵庫県の産地は大きくわけて5地区に別れています。A-A地区、A-B地区、A-C地区、B地区、C地区ですがその中でも特A地区と呼ばれているのはA-A地区のことで吉川町全域、東条町全域、社町の一部というごく限られた地域しかありません。
またお米は品質によって特上米、特米、一等米、二等米、三等米に区別されますので「特A地区の特上米」というお米がいかに貴重なお米か分かっていただけたと思います。
このような貴重なお米ですので価格もそれなりです。2〜3年前は、60kg当たり\33,000もしていましたが、現在では相場が下がっていますので少し安くなったようです。それでも\30,000ほどします。この辺りの飯米の「ヒノヒカリ」なら60kg当たり\15,000ですので、いかに高価なお米であるか判っていただけると思います。
その貴重なお米が、いま余り始めています。第1の原因は山田錦を使用するような高級酒(吟醸酒)が不況の為に売れなくなり、需要が激減しているということ。第2に外国産米による台頭(品種は山田錦に限りませんが)です。
それで「義侠 山忠本家酒造」(ここは昔からでしたが)や「開運 土井酒造場」そして、今回紹介した「醴泉 玉泉堂酒造」などでは「兵庫県の山田錦」がふんだんに入荷するようになりましたので、ますます良いお酒ができるという訳です。
「鑑評会のお酒について」(2001.4.27)
いま日本全国鑑評会の話題でもちきりですが、鑑評会のあり方も考え直す時期に来ているのではないでしょうか?やはり利き酒の為のお酒ではなくて、飲んでもおいしい純米酒で競うべきではないかなと思います。そして各国税局ごとに審査して金賞を与えるべきではないかなと思います。開催時期も春ではなく秋の火入の熟成酒で評価して欲しい気がします。
こんな意見は私だけですかね。
「原料処理」(2001.4.13)
今年もいろんな蔵元さんに行って話をお伺いしますと「原料処理」がキーワードになっているようようです。
「原料処理」とは「精米」「洗米」「浸漬」等のことを指しますが、これを如何に基本に忠実に行うかで酒の善し悪しが決まるといっても過言ではないようです。
「精米」は自分の所でキチンと(依託精米の場合には5%ほど精米歩合が落ちるそうです。例えば50%精米でと頼むと55%ぐらいしかしてこないそうです。)精米すること。
「洗米」は糠を残さないようにきれいに洗米すること。
「浸漬」は限定給水をすること。
こういう基本がしっかりできると酒も良くなるそうです。
「日本酒の酸と食べ物に対する私見!!パート2」(2001.2.25)
前回も書きましたように日本酒の酸に対する私の考え方を今回も補足と言うことでまた書かせていただきます。
先日、うちの食卓にアサリのバター焼きと太刀魚のムニエルが上がった時のことです。酸の多い早春味と酸の少ないお酒を飲みくらべましたところ、早春味の方が大変相性よく感じました。試飲の段階では、かなり目だち過ぎた酸も料理といっしょではすっかり影を秘そめ、むしろ料理の引き立て役にまわったようです。とにかくお酒も料理もおいしくなりました。たぶん、バターやオイルを使った料理には、こんな酸の多いお酒が合いそうだと思いました。(おそらく山廃系のお酒も同じと思います。)
それと以前のことになりますが、浜嶋酒造の浜嶋さんと食事をした時のことです。「鷹来屋」の特別純米酒の同じ年の「火入れ酒」と「生酒」を飲みくらべたら、おさしみにはあきらかに生酒の方が合いました。これも生の魚には「生酒」を火を通した魚には「火入れ酒」をという風に合わせてみてください。
酸が多い(濃淳な)お酒は脂の乗ったお魚に、酸の少ない(淡麗な)お酒は淡白なお魚が合うようです。
ぜひ、みなさんも試してみて、そしてあなたの意見をお聞かせ下さい。
「日本酒の酸と食べ物に対する私見!!」(2001.2.12)
今の日本酒は酸が少なすぎるような気がします。これだけ食生活が洋風化した現在においてもあれだけ酸の少ない酒が氾濫しているのが、日本酒不振の元凶と思うのは私だけでしょうか?
日本酒がワインと肩を並べる食中酒として世界の舞台に登場する為には、ちゃんと酸を主張する日本酒がもっと出てくるべきだと思います。
もちろん大吟醸のような食前酒も必要ですが、山廃系のお酒のように酸を主張するお酒がもっと出てきても良いような気がします。酸の少ないお酒は食べ物との相性が良くないような気がします。
あなたの意見をお聞かせ下さい。
「滓引き」「濾過」「調合」「火入れ」(2001.1.25)
前回、説明しましたように「上槽」が終ると「醪」は「お酒」と「酒粕」に分かれます。「ふつうのお酒」はこれだけでは製品として出荷できません。さらに製成という工程が待っています。
「滓引き」「濾過」「調合」「火入れ」と呼ばれている作業が製成工程に含まれます。
まず「滓引き」ですが、できたままのお酒というのは、滓が絡んで白濁しています。その沈澱した滓を「呑口」から抜取る作業のことです。
つぎに「濾過」です。滓引き後のお酒にはまだ微粒子が残っていますので、これを取り除く為に「炉過機」を使用して清澄します。
「調合」は、同じ種類のお酒を何本も仕込んだ場合、タンク1本ごとの味が均一でない為ブレンドして調整します。
「火入れ」は、お酒の温度を65℃まで上げて「火落菌」を殺してしまう作業の事です。
これだけの工程を経て、やっと「製品」として出荷されます。
注)現在では冷蔵技術や酒造技術が進んで「できたままのお酒」を販売することも増えてきました。それが「しぼりたて」「あらばしり」等です。
「生酒」「しぼりたて」「あらばしり」(2001.1.10)
今、入荷しているお酒のほとんどがこのタイプのお酒になります。
「生酒」とは、火入れという作業を一切していないお酒で、日本酒本来の甘味旨味渋味等を充分に堪能できるお酒ですが、火入れをしていないので変化しやすく管理のたいへんなお酒です。
「しぼりたて」とは、生酒の中でも上槽したばかりのまだお酒の中に炭酸をわずかに含んだようなフレッシュなお酒の事です。
「あらばしり」とは、槽の中に酒袋を積んでゆくとその重みだけで、白濁したお酒が流れ出てきます。その最初に出てきた部分のお酒の事をいいます。
ちなみに、その次の徐々に圧力をかけはじめた部分を「中取り」最後に圧力をかけきった部分を「責め」と言います。
つまり「生酒」は何年経っていようと「生酒」なのですが、「しぼりたて」「あらばしり」は、その時期にしか味わえない季節商品なのです。
しかし当店では「しぼりたて」「あらばしり」の1年寝かせた物などがありお酒がどのように変化していくかを見る良い材料になっています。
特に松の司の「あらばしり」など1年経ってさらに旨味の増したお酒があり、すごく楽しめます。お客様にも両方試飲していただき、お好みの方をお買い上げ頂いています。
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